湘南曹監督「タイヤ3つで走っている車」一問一答
情報元 : 湘南曹監督「タイヤ3つで走っている車」一問一答
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<明治安田生命J2:湘南0-1山形>◇第16節◇27日◇BMWス
 湘南ベルマーレの曹貴裁監督(48)は、今季初のホームでの連敗を喫したモンテディオ山形戦後の会見で「せっかく家を作っていたのに屋根が取れて、雨がずっと家の中に流れ込むようなイメージ」、「糸の切れたタコ」、「4つあったタイヤが1つ外れ、3つで走っているような車」などと独特な言い回しでチームの現状を表現。その上で「お人よし…自分が出来ていないから人には要求できないみたいな…そういう、くだらない善人ぶるのをやめてほしい」と、互いに要求することを選手に求めた。
 試合後の監督会見の、主な一問一答は以下の通り。
 総括 本当にいろいろ、試行錯誤しながらも、勝ち点3を取るために毎週、やっているつもりですけれど、今日はうちにも良かったところはありますけど、全体的には相手がゲームを作ったプランにはまっっちゃったかな、という試合。うちの選手は、これから先、いい選手になる可能性も、もちろん持っていますしサッカー観、練習に取り組む姿勢はすごくいいと思うんですけど、何か物事、アクシデントが起きた時に、自分が出来ていないから、人には要求できない、となって、自分のテンションも周りのテンションが落ちがち。ここっていう時に踏ん張れなかったり、決められないというのは、サッカー選手の自立も含め…僕のせいだと思うけれど、まだまだ甘いなと思うし。やっていることは別に否定するものではないし、若い選手も含めて、みんなよくやっているとは思いますけど、本当に真剣に、この試合にかけて1つ1つのプレーをしてきたかというと、最後の失点もそうだし、我々が攻撃にいった時の最後のシュートもそうですし、せっかく家を作っていたのに、最後に屋根をつけたら型にはまらなくて、屋根が取れて雨がずっと家の中に流れ込むようなイメージの試合になっちゃった。ただ、これは我々の今の実力だと思っているし、相手の研究も進む中、山形さんが人数をかけて守ってカウンターに活路を見いだす…それをやらせないために、早い段階で点を取らなければいけないのに、決めきれない自分たちがいる。非常に考えなければいけない試合。今、チームの置かれている状態を選手と一緒に向き合って、前向きにしていくしか解決することはないと思う。まだまだ甘いなということを認識すると同時に、16試合終わりましたけど、次の準備をしておかないと、糸の切れたタコというか、4つあったタイヤが1つ外れ、3つで走っているような車というか、不完全なままシーズン終えてしまうのが嫌。ガッチリはめて次の試合に向かいたい。
 -山形のプランにはまったのは、どの段階で気付き、どう修整したか?
 曹監督 最近の湘南の試合を見て、前から(プレスに)行っても外されちゃうんで、しっかり後ろでリトリートして、入れ代わりのチャンスをまとうというゲームプランになっていたと思いますし。それは今に始まったことじゃないですけど、その中で勇気を持ったプレーが今日の試合でたくさん出たかというと、そうは思っていなくて、そういう姿勢が最後に相手に勝ち点3を与えたんだと思っていますし。(相手に)引かれたからといって、ボールを横に後ろに…それこそ、大事な競り合いのプレーで安全なプレーしかしなければ、相手の思うつぼ。言葉で言うと勇気、積極性、たくましさが、間違いなく今日は欠けていたなと思いますし。ただ、それは何十回も何百回と選手に言っていることだし、選手が本当にどう感じるかを引き出せないと、真に強いチームにはなれないと思うし…それは、自分の中で実感しています。
 -選手から引き出すのが今季の課題?
 曹監督 課題というか、現状だということですよ。その現状に対して、何をしなければいけないか。別に課題とは思っていないけど…課題なんて、どの会社にも、組織にもあって当たり前で、ない会社なんてないわけで。ただ、現状を認識して次に向かっていかないと、変な方向に車だけ進んで行っても、目的は達成しないんで、少しやらないといけないなと。
 -お話を聞いていると、監督としては今日の試合は良くない内容…ワーストゲーム?
 曹監督 全然、そんなことはないです。相手にやりたいことをやらせたとも、そんなに思っていないし、我々もチャンスは作れて、シュートにもいけた場面もありました。ただ、ギリギリのところで、勝ちきれるための選手の自覚というか、何をしていいか、何をしてはいけないかを、ピッチの中でもう少しレベルを上げないと。この人は経験がないからやってもいい、この人は経験があるから、そのプレーをやっちゃいけないじゃなくて、プレーそのものに対して基準を作っていかないといけないと思うし。我々はリスクを侵していくチームなので、それそのものを否定する必要はない。ただ(選手には)お人よし…要は、自分が出来ていないから人には要求できないみたいな…そういう、くだらない善人ぶるのをやめてほしいです。そんなの、善人でも何でもないし、ただ向き合っていない、逃げているだけだと思っているんで…それが多少、選手の中にあるんじゃないかという感じが今日はした。お互いに仕事…遊びじゃないんだから、言いたいことを言い合って、監督の采配が悪いから、こうですよと言われても構わないし、俺は。ちゃんとそれを吐露しないと、ここから先、前を向くのが選手が成長することだと思う。
 曹監督は会見で「選手と一緒に向き合って、前向きにしていくしか解決することはないと思う」と語ったとおりMF菊地俊介(25)、GK秋元陽太(29)、右ひざ前十字靱帯(じんたい)損傷で長期離脱中のFW高山薫(28)と右ひざの負傷で離脱中のMF藤田征也(29)の4選手を呼び、約1時間半にわたり緊急会談を開いた。試合後のスタジアムで選手と向き合い、現場で解決に動いた姿勢は、今季のチームスローガン「共走」を体現した行動だった。【村上幸将】