ドイツ的CL決勝、中盤の鍵を握る代表ボランチコンビの対決に注目
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 3日に行われるチャンピオンズリーグ(CL)決勝で、ドイツ代表ボランチコンビの対決に注目が集まっている。ユヴェントスMFサミ・ケディラと、レアル・マドリードMFトニ・クロースがそれぞれドイツ国内メディアのインタビューに応じている。
 5月31日付の『シュポルト・ビルト』紙にはクロースが話している。元バイエルン所属のクロースにとって、準々決勝の古巣対決には個人的にも思うところがあったようだ。「サッカーには同情の余地なんかあまりないんだよ。バイエルンや元チームメイトのことは今でも好きだけれどね。もし、僕らが負けていたとしても同情なんか要らないしね。結果が出てしまったら、受け入れるしか無いんだよ」。
 その流れでバイエルンから移籍した理由を聞かれると、「噂されていたように、金銭面で折り合いがつかなかったのは事実だよ。元々は、バイエルンに残留する気だったんだけれどね。でも、今から思い起こしてみると、移籍して良かった。金銭面だけではなくて、将来のプランに食い違いもあったから。あのタイミングが『新しいことに挑戦したい』とクラブに伝えるちょうど良いタイミングだったんだ」と説明。「その後のレアルの結果を見れば、このステップは自分でも満足できるものだよ」と移籍に満足していると話した。
 CL決勝で対戦するケディラついて話を向けられると、「サミは今のユーヴェの強さでもある安定感を確実にもたらしてくれる選手だ。ユーヴェは全員が守備の仕事もこなし、対戦するのも、点をとるのも難しい相手で、サミはその好例だね」と苦戦を予想すると同時に対戦相手へのリスペクトを忘れなかった。
 この試合に勝てば、ドイツ人として歴代トップタイ(フランツ・ベッケンバウアー、ゲルト・ミュラーらと並ぶ)となる3回目の優勝となる。「この7年間の間、最低でも準決勝に入り続けることが出来ているけど、それはそういうチームでプレーできる幸運に恵まれていたからだよ。ベッケンバウアーのような偉大な人物と並ぶことも大変素晴らしいことだね。でも、僕の目標は、自分の仕事が最後に報われるような成功が欲しいだけなんだ。タイトルを取れれば、記憶には自ずと残るだろうからね」と謙遜しつつも、勝者のメンタリティを垣間見せた。
 6月1日付の『キッカー』誌にはケディラがインタビューに応じている。ユヴェントスに移籍後、タイトルを獲得し続けているケディラはトリノでの生活を堪能しているようだ。「ユヴェントスのようなビッククラブでは毎年全力を尽くすことが求められている。でも、毎年タイトルを懸けて戦えるのは、本当に楽しいね。プロとしてプレーできる時間は限られているから、毎年こうやってタイトルを得られるチャンスに恵まれているのは大きなことなんだ」と成功を喜んでいる。
 とりわけ、レアルからのユヴェントスへの移籍は個人的には満足しているようだ。「レアルでの5年間は素晴らしかったけれど、僕のプレースタイルに価値を見出してくれるクラブに行きたかったんだ。(イタリアはスペインとは)評価の基準が違うんだろうね。レアルの監督陣は僕のことを評価してくれていたけれど、メディアやファンはそうではなかったんだ。10試合素晴らしいプレーをしても、それは当然とされて、1回あまり良い試合をできなかったら叩かれる。そうなると、疑心暗鬼になってクラブにとって自分は十分なクオリティがあるのか自問自答するようになる。トリノでは、そういう評価も寛容だし、僕の強みである1対1や戦術的な状況の打開もきちんと評価してくれるんだ」。
 チームの強みが自身の特性とマッチしていることで、自身の守備的なプレーが上手く回っていると感じているようだ。「チームメイトは本当に素晴らしいと思っている。僕の能力は個人ではなく、チームメイトの能力とうまくハマって機能するものだからね。(ジャンルイジ・)ブッフォンをはじめ、ディフェンスラインは信じられないほどにインテリジェントだ。コンビを組む(ミラレム・)ピアニッチや(クラウディオ・)マルキージオも本当に素晴らしい選手だよ。こういったチームメイトがいれば、プレーは簡単になる。強力なディフェンスをベースにした素晴らしいチームだよ」。
 そして、レアル対策について聞かれると「小さなミスも許されないね。彼らは僕がいた頃と似たようなサッカーをしている。ボール奪取後、素晴らしいパッサーを経由してスピードある選手にカウンターを許したら危険だね。それに加えて、各選手のクオリティも高い。僕らは彼らが絶好調でないことを祈らないとね。もしそうなったら、彼らは誰にも止められない。とにかく、僕らはボールロストの瞬間、特に注意を払わないといけない」とボールロスト後の守備への切り換えが鍵を握ると見ているようだ。
 ドイツ代表のボランチでコンビを組みながら、「コンタクトは取り合っていない。能力は高く評価していることには変わりはないけどね」という両者。ハイレベルになるであろうCL決勝は、それぞれの特徴を活かして中盤で主導権を握ったほうが勝利に近づくはずだ。今シーズンのクライマックス、ドイツ代表の2人が火花を散らす中盤の攻防も見逃せない。